結晶構造で全部ではなかった!
これまでPD-L1 / PD-1 の複合体結晶 [ PDB id : 4ZQK ]などで遊んできました。
ところが、気になるつぶやきが、、、
どうやら私が見ている構造は部分構造にすぎないとのこと。
(すみません元ツイートを貼ろうと思いましたがTwitterの貼りつけ方わかりません)。
そこでまずは、アミノ酸残基を眺めてみることにしました(Table 1)。
Table 1. アミノ酸残基数の比較 (PDB vs. UniProt)
PDB のアミノ酸残基数はUniProtの半分近くしかありません。
私が見ていた構造はなんだったんでしょうか?
・・・PDBのページをスクロールしたらどうやらヒントらしきものが。
[PDB id : 4ZQK]
項目: Macromolecules 内に Protein Feature View という機能がありました。
図1. Protein Feature View 全体 (RCSB PDBページより https://www.rcsb.org/structure/4ZQK )
図2. 4ZQK Chain A (PD-L1) 一部拡大
こちらに答えがありそうなので、RCSB PDB のヘルプ( RCSB PDB - Help ) に従い図2をみます。
図2は左端のバー(緑色 / 青色)で上下2つにざっくり分かれ、それぞれ
・上段(緑色)・・・ UniProtKBのデータに基づき作成
・下段(青色)・・・ PDBのデータに基づき作成
されており、下段(PDB)は上段(UniProt)に対応するよう配置されているようです。
この対応をみると、
・[PDB id: 4ZQK] 中のPD-L1 ( Chain A / 図2下段 4ZQK_A 行の横バー) は、
・UniProtKB アミノ酸配列中の細胞外( Extracellular ) [Ig-like V-type] と呼ばれるドメイン(図2上段 Motif行の横バー)
のみ対応しており、タンパク質の一部のみしか結晶構造に含まれていないようです。
図2は拡大しているため途切れていますが、UniProt Motif行を右にたどっていくと、細胞質内(Cytoplasmic)ドメイン の文字が見えます。
PD-1 (4ZQK Chain B)については省略しますが、Chain Aと同様Extracellular ドメインのみに対応していました。
以上が、「細胞外ドメインのみで細胞内についての構造は明らかになっていない」という議論の前提にあたりますでしょうか?
間違い等ご指摘いただければ幸いです。
PDBにリンクがはってあったからUniProtを参照しましたがよかったのだろうか??