magattacaのブログ

日付以外誤報

PDBにおけるPD-1/PD-L1結晶構造について

この記事はPD-1/PD-L1に対する低分子創薬に関する記事です。

 

ノーベル賞関連をぼんやりながめていたら以下のイベントをみつけました。

souyakuchan.github.io

 

薬学部にいた遠い記憶を掘り起こし、ちょっと調べてみることに。。。

とはいえ、ボーナスで買ってしまったmac 1台以外になにもなくin silico創薬なるものになんの知識もない凡人ではどうしていいかわからず、とりあえず何か投げ込めば頭のいい人たちが教えてくれると期待して書きます。

(ちなみに薬剤師の資格もありません...orz)

 

とりあえずタンパク質の構造といえばPDBということで、PDBでタンパク質-化合物の共結晶構造をしらべてみました。

www.rcsb.org

 

創薬ちゃん」さんがtwitterであげていた構造、「PDB id :4zqk」(ありがたいことに元文献はopen accessです) の研究室から、複数の共結晶構造が報告されていました。

元文献→

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26602187

Prof. Tad Holak→

http://www.mcb.uj.edu.pl/prof.-tad-holak

(こんな素敵なタイトルのreivew もでてきましたが、課金が必要みたいです...

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13543776.2018.1512706  )

 

さて、共結晶構造ですが、いずれもBMS社の特許文献中の化合物との共結晶構造ということです。 

1. PDB id: [5J89] [5J8O]  元文献(open access) [Oncotarget. 2016; 7:30323-30335.]

doi.org

2. PDB id: [5NIU] [5NIX]  元文献(open access) [Oncotarget. 2017; 8:72167-72181. ]

doi.org

https://doi.org/10.18632/oncotarget.20050]

3.  PDB id: [5N2D] [5N2F]  元文献(課金が必要) [J. Med. Chem. 2017,  60135857-5867]

[ https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.jmedchem.7b00293 ]

(JMCは埋め込みができなかった)

 

1 , 2はopen access (?課金なしで見られた)のですが、軽くまとめるとBMSの特許記載中の化合物との共結晶構造をとってみたよ、ということみたいです。

1) BMSの特許: WO201503482、WO2015160631

(特許についてはrkakamilanさんのすばらしい記事をお読みください)

rkakamilan.hatenablog.com

 

2) 文献の内容

BMSの化合物とPD-L1の共結晶をとったところ、下記の内容がわかった。

BMS低分子化合物との共結晶では、「化合物 : PD-L1 = 1 : 2」、すなわちタンパク質が低分子と結合し、2量体化した構造となっていた。

BMS低分子の構造が大きくなる(BMS-8, BMS-202  vs. BMS-1001, BMS1166)とPD-L1のアミノ酸残基(Tyr-56)の向きが大きく変化し、低分子化合物を許容するような結合サイトの変化がみられた(「文献中ではトンネル構造がでできた」と言った記載がされています)・・・文献のFigの貼り方がわからないので雑な記載ですがご容赦ください。

・共結晶構造ではPD-L1の2量体となっているが、著者らが既に報告しているPD/PD-L1複合体の構造と比較すると、だいたい重なっており、PD/PD-L1の相互作用阻害としても同様の結合モードで機能しているのでは??

ということみたいです。

 

3) PPI
上記文献ではPD/PD-L1の相互作用、低分子とPD-L1化合物の相互作用形式について「2~3のHot Spot」という形式を提唱していました。

3点のHot Spotを提唱するあたり、MDM2にたいする阻害剤(PPI: Protein-protein interaction inhibiter)を意識しているのかなぁという印象です。

余談ですが、ペプチドリームの枡屋先生はNovartisで絶対無理だといわれながらもMDM2を標的としたPPI創薬にとりくみ、見事臨床試験に到達した化合物をしあげたとのお話をされていました。「ちょっと格好良すぎるのでは、、、」と思う次第です、、、。

 

以上、わずかながら情報提供できれば、、、とおもい記載してみました。

インターネットの賢者たちが行く末を示してくれると信じ、この記事を終えます。

お付き合いありがとうございました。

 

ps.  レイドバトルと聞いて、下が思い浮かんだ私は負け組...

www.youtube.com

シラット...hoo!!!